公正証書遺言を作成しようとして、公証人にその作成を嘱託した後、遺言者本人の事情によってその作成を中止した場合の公証人手数料はどのように算出されるのでしょうか。例えば「気が変わった」、「遺言者が遺言作成前に病気や事故で亡くなってしまった」などのケースです。
公証人の手数料は「公証人手数料令(平成五年政令第二百二十四号)」で定められており、その中で中止の場合の手数料について次のように定められています。
(執務の中止等による手数料)
第三十三条 公証人が証書の作成に係る事務の取扱いに着手した後、嘱託人の請求によりこれをやめたとき、又は嘱託人その他の列席者の責めに帰すべき事由によりこれを完了することができないときは、公証人は、当該事務の取扱いに要した時間に従い、第二十六条の規定の例により算定した額(法律行為でない事実について第三十条の規定の適用がある場合にあっては、同条の規定による加算額を含む。)の手数料を受けることができる。ただし、当該証書の作成が完了した場合についての手数料の額を超えて受けることができない。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=405CO0000000224
(法律行為でない事実に係る証書の作成の手数料の原則)
第二十六条 法律行為でない事実に係る証書の作成についての手数料の額は、この政令に特別の定めがある場合を除き、事実の実験並びにその録取及びその実験の方法の記載に要した時間(以下「事実実験等に要した時間」という。)の一時間までごとに一万千円とする。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=405CO0000000224
簡単に言うと、作成にかかった時間×11,000円ということになります。遺言作成の過程において、不動産の謄本等を公証人において取得していた場合等はその実費もかかります。
以上となります。遺言は、今わの際に作成する「遺書」ではなく、計画的に作成するものです。遺言者の意思能力、健康が万全なうちにご検討ください。