民事信託とは
信託とは、信頼できる相手(家族でも第三者でも)に「自分の財産を移転させ、その管理・処分などを任せる」という制度です。
この制度をうまく使うことによって、これまで終活の手段として用いられてきた遺言や成年後見制度では出来なかったことを実現できる場合があります。
民事信託の活用例
認知症に備えて信託を活用
認知症になってしまうと、判断能力が亡くなってしまうわけですから、様々な法律行為が出来なくなってしまいます。例えば、契約の締結、配偶者やお孫さんへの贈与、遺産分割協議への参加などなど。
例えばご自身が賃貸物件を所有されていたとして、新しい入居者様との契約は結べません。
このような場合に息子さんにご自身の賃貸物件を『信託』し、ご自身が認知症になってしまった後は息子さんに賃貸物件の運用をしていただき、賃料をご自身が受領するということ可能となります。
遺産の後継ぎ遺贈をしたい
「自分には先妻との間に長男が一人いるが、現在の後妻との間には子どもはいない。先妻は既に死亡しており、子どもと後妻の仲は良くない。自分が亡くなったら遺産を後妻に相続させ、後妻が亡くなった後は子どもに相続させたい」という希望も、信託の仕組みを活用すれば実現できます。
このような、いわゆる後継ぎ遺贈は、遺言では無効とされる見解が有力なため、信託の活用が考えられます。
持分の信託
所有している不動産が共有の場合、例えばご自身が1/2、配偶者が1/2といった持分のケースで、1/2を持っている相手方が認知症になってしまった場合、その不動産を売却しようにも判断能力を失ってしまっている為それができません。成年後見制度を利用しても家庭裁判所の判断を仰がねばならず、そもそも後見人の選任に数ヶ月の時間を要します。
そこで、相手方が認知症になる前に長男にその持分1/2を信託するという対策をとることが考えられます。
信託を活用することによって、共有者が認知症になってしまったとしても、不動産の処分を成すことが可能となります。
民事信託のポイント
信託の倒産隔離機能
仮に信託を任された人(受託者といいます)の財産状況が悪化しても、受託者が管理している信託財産は影響を受けない仕組みになっています。
信託財産の使用目的を限定することができる
「契約」で信託の内容、つまり財産の使い道を取り決めることができ、さらにはその取決め内容が守られるかという事を監視する役割の監督人も設置することができますので、「自分が亡くなったあとは財産はどのように使われるのだろうか・・・」という不安を抱えている方に有効です。
成年後見と民事信託のちがい
成年後見制度は、判断能力が低下した方を守るための制度なので、原則財産を維持する(減らさない)ことしかできません。
成年後見と民事信託の違いについては下記の表を参照ください。
後見制度 | 民事信託 | ||
---|---|---|---|
法定後見人 | 任意後見人 | 受託者 | |
存続期間 | 本人の死亡まで | 本人の死亡まで | 始期も終期も自由に設定可能 |
権限 | 財産管理及び身上監護※ ※「身上監護」とは、被後見人の生活、治療、療養、介護などに関する法律行為を行うこと | 同左 | 信託財産の管理・処分 |
財産の所有者 | 被後見人(本人) | 同左 | 受託者 |
財産の積極的運用・処分の可否 | 財産を維持しながら本人のためにのみ支出する | 同左 | 受託者の判断において、受益者のために信託目的の範囲内で自由な処分・運用が可能 |
不動産の処分の可否 | 家庭裁判所の許可が必要で、処分のための合理的な理由が求められる。 | 家庭裁判所・後見監督人の同意も不要で、処分可能。 | 信託契約において受託者に権限が付されていれば可能。 |
報告先 | 成年後見人が定期的に家庭裁判所に報告 | 任意後見人が定期的に家庭裁判所に報告 | 受託者は、年に1回財産状況開示書類を受益者に報告。 信託の内容によっては毎年1月31日までに計算書を税務署に提出 |
犯罪被害への対応 | 被害を回復できる | 契約を取り消せない | 受託者に取消権はないが、被害を最小限にする効果が期待される (信託の倒産隔離機能) |
監督機関 | 家庭裁判所又は後見監督人による監督を受ける | 必置の任意後見監督人により監督を受ける | 信託設計で信託監督人を任意に設定することができる |
報酬 | 家庭裁判所が決定 | 自由に設定できる | 自由に設定できる |
ランニングコスト | 職業後見人 ⇒月2~6万円 親族 ⇒月1~2万円 | 契約書で取決めた後見人の報酬額+後見監督人月1~2万円 | 信託契約書の取り決めによる |
民事信託と税金について
民事信託の設計内容によっては相続税や贈与税が課税されます。
民事信託の組成時に、どこでどのような税金が発生するのかを確認しないと、思いもよらない費用が発生することがあります。
当事務所では信託組成時に提携税理士をご紹介させていただき、その様なリスクを回避させていただきます。
また、信託では遺留分にも十分配慮しなければならないため、税金と合わせて遺留分のチェックも行います。
信託設定の流れ
平日はお仕事で忙しいという方のために、土日もご相談を受け付けております。来所でもご自宅へお伺いする形でもどちらでも対応しています。
先ずはお電話(平日9時~18時)にて無料相談日をご予約下さい。
対面相談にて時間をかけて丁寧にヒアリングいたします。
ご依頼を頂きましたら、信託設定に必要な戸籍謄本等の書類収集を開始いたします。
(信託契約書を公正証書にする場合)
信託契約書を公正証書にする場合は、公証人と日程調整のうえ、指定日時に公証人役場へ赴きます。当事務所で作成した信託契約書の原案に公証人の認証をしていただきます。
報酬について(税抜)
業務内容 | 報酬(税抜) | 手数料 | 内容 |
---|---|---|---|
民事信託 | 信託財産が1億円以下の場合 1% (3,000万円以下の場合は最低額20万円) | 各種証明、公証役場手数料実費 |
|
信託財産が1億円超3億円以下の部分 0.5% | 各種証明、公証役場手数料実費 | ||
信託財産が3億円超の場合 0.1% | 各種証明、公証役場手数料実費 |
民事信託のこと
民事信託とは
信託とは、信頼できる相手(家族でも第三者でも)に「自分の財産を移転させ、その管理・処分などを任せる」という制度です。
この制度をうまく使うことによって、これまで終活の手段として用いられてきた遺言や成年後見制度では出来なかったことを実現できる場合があります。
民事信託の活用例
認知症に備えて信託を活用
認知症になってしまうと、判断能力が亡くなってしまうわけですから、様々な法律行為が出来なくなってしまいます。例えば、契約の締結、配偶者やお孫さんへの贈与、遺産分割協議への参加などなど。
例えばご自身が賃貸物件を所有されていたとして、新しい入居者様との契約は結べません。
このような場合に息子さんにご自身の賃貸物件を『信託』し、ご自身が認知症になってしまった後は息子さんに賃貸物件の運用をしていただき、賃料をご自身が受領するということ可能となります。
遺産の後継ぎ遺贈をしたい
「自分には先妻との間に長男が一人いるが、現在の後妻との間には子どもはいない。先妻は既に死亡しており、子どもと後妻の仲は良くない。自分が亡くなったら遺産を後妻に相続させ、後妻が亡くなった後は子どもに相続させたい」という希望も、信託の仕組みを活用すれば実現できます。
このような、いわゆる後継ぎ遺贈は、遺言では無効とされる見解が有力なため、信託の活用が考えられます。
持分の信託
所有している不動産が共有の場合、例えばご自身が1/2、配偶者が1/2といった持分のケースで、1/2を持っている相手方が認知症になってしまった場合、その不動産を売却しようにも判断能力を失ってしまっている為それができません。成年後見制度を利用しても家庭裁判所の判断を仰がねばならず、そもそも後見人の選任に数ヶ月の時間を要します。
そこで、相手方が認知症になる前に長男にその持分1/2を信託するという対策をとることが考えられます。
信託を活用することによって、共有者が認知症になってしまったとしても、不動産の処分を成すことが可能となります。
民事信託のポイント
信託の倒産隔離機能
仮に信託を任された人(受託者といいます)の財産状況が悪化しても、受託者が管理している信託財産は影響を受けない仕組みになっています。
信託財産の使用目的を限定することができる
「契約」で信託の内容、つまり財産の使い道を取り決めることができ、さらにはその取決め内容が守られるかという事を監視する役割の監督人も設置することができますので、「自分が亡くなったあとは財産はどのように使われるのだろうか・・・」という不安を抱えている方に有効です。
成年後見と民事信託のちがい
成年後見制度は、判断能力が低下した方を守るための制度なので、原則財産を維持する(減らさない)ことしかできません。
成年後見と民事信託の違いについては下記の表を参照ください。
後見制度 | 民事信託 | ||
---|---|---|---|
法定後見人 | 任意後見人 | 受託者 | |
存続期間 | 本人の死亡まで | 本人の死亡まで | 始期も終期も自由に設定可能 |
権限 | 財産管理及び身上監護※ ※「身上監護」とは、被後見人の生活、治療、療養、介護などに関する法律行為を行うこと | 同左 | 信託財産の管理・処分 |
財産の所有者 | 被後見人(本人) | 同左 | 受託者 |
財産の積極的運用・処分の可否 | 財産を維持しながら本人のためにのみ支出する | 同左 | 受託者の判断において、受益者のために信託目的の範囲内で自由な処分・運用が可能 |
不動産の処分の可否 | 家庭裁判所の許可が必要で、処分のための合理的な理由が求められる。 | 家庭裁判所・後見監督人の同意も不要で、処分可能。 | 信託契約において受託者に権限が付されていれば可能。 |
報告先 | 成年後見人が定期的に家庭裁判所に報告 | 任意後見人が定期的に家庭裁判所に報告 | 受託者は、年に1回財産状況開示書類を受益者に報告。 信託の内容によっては毎年1月31日までに計算書を税務署に提出 |
犯罪被害への対応 | 被害を回復できる | 契約を取り消せない | 受託者に取消権はないが、被害を最小限にする効果が期待される (信託の倒産隔離機能) |
監督機関 | 家庭裁判所又は後見監督人による監督を受ける | 必置の任意後見監督人により監督を受ける | 信託設計で信託監督人を任意に設定することができる |
報酬 | 家庭裁判所が決定 | 自由に設定できる | 自由に設定できる |
ランニングコスト | 職業後見人 ⇒月2~6万円 親族 ⇒月1~2万円 | 契約書で取決めた後見人の報酬額+後見監督人月1~2万円 | 信託契約書の取り決めによる |
民事信託と税金について
民事信託の設計内容によっては相続税や贈与税が課税されます。
民事信託の組成時に、どこでどのような税金が発生するのかを確認しないと、思いもよらない費用が発生することがあります。
当事務所では信託組成時に提携税理士をご紹介させていただき、その様なリスクを回避させていただきます。
また、信託では遺留分にも十分配慮しなければならないため、税金と合わせて遺留分のチェックも行います。
信託設定の流れ
平日はお仕事で忙しいという方のために、土日もご相談を受け付けております。来所でもご自宅へお伺いする形でもどちらでも対応しています。
先ずはお電話(平日9時~18時)にて無料相談日をご予約下さい。
対面相談にて時間をかけて丁寧にヒアリングいたします。
ご依頼を頂きましたら、信託設定に必要な戸籍謄本等の書類収集を開始いたします。
(信託契約書を公正証書にする場合)
信託契約書を公正証書にする場合は、公証人と日程調整のうえ、指定日時に公証人役場へ赴きます。当事務所で作成した信託契約書の原案に公証人の認証をしていただきます。
報酬について(税抜)
業務内容 | 報酬(税抜) | 手数料 | 内容 |
---|---|---|---|
民事信託 | 信託財産が1億円以下の場合 1% (3,000万円以下の場合は最低額20万円) | 各種証明、公証役場手数料実費 |
|
信託財産が1億円超3億円以下の部分 0.5% | 各種証明、公証役場手数料実費 | ||
信託財産が3億円超の場合 0.1% | 各種証明、公証役場手数料実費 |