昨今、振り込み詐欺をはじめとする特殊詐欺は高齢者を狙った悪質な手口が増加し、社会にとって大きな不安の一つとなっています。家族信託は自身の財産管理を自分以外の第三者(例えば家族)の手に任せることで、詐欺による被害を防ぐ効果的な方法として利用されています。
1. 家族信託の基本的な仕組み
家族信託は、自分の財産を信頼できる家族等(受託者)に託すことで、財産管理や運用を受託者に行ってもらう契約です。契約内容にも依りますが、基本的にはこれまでの生活を何一つ変えることなく、財産管理だけを受託者にお願いすることが基本的な枠組みです。
2. 家族信託が特殊詐欺対策に有効な理由
特殊詐欺の標的となりやすい高齢者は、判断能力が低下しやすく、巧妙な詐欺被害に遭ってしまうケースが多いです。 家族信託を利用することで、受託者(通常は子どもや信頼できる家族)に財産管理を行ってもらい、高齢者自身が不審な支出や振り込みをするリスクを大幅に軽減できます。
不正送金を防ぐ仕組み
信託とは形式上、自分の財産を誰かの名義に変えてしまうことです。したがって、高齢者の財産ではなくなる(高齢者の管理下に財産が無い)ため、自らATM等で預貯金を振り込むといった行為が出来なくなるのです。
3. 家族信託を導入する際の注意点
分別管理の徹底
受託者は自己の財産と委託者(今回の例で言うと財産を預ける高齢者)の財産を分別して管理しなければなりません。金融機関で信託口口座を開くことや、新規に受託者名義の口座を開設してその口座で管理するなどして、分別管理を徹底する必要があります。
信頼できる受託者の選定
受託者には財産管理の責任が伴うため、信頼できる家族や第三者を選ぶことが重要です。金融機関に信託を依頼すると、一定程度の信託報酬が掛かってしまうこともありますが、家族信託は受託者との取り決めで受託者報酬を無料に設定することも可能です。
4. まとめ
家族信託は、特殊詐欺から高齢者の財産を守るために有効な手段として注目されています。特殊詐欺被害の不安を抱えている方は、家族信託の活用を検討してみてはいかがでしょうか?
ご興味のある方は、当事務所までお気軽にご相談ください。